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『アステリズムに花束を』

宮澤伊織『キミノスケープ』
 廃墟さまよう感じ好き。静かさと風景の描写がよい。姿が見えない百合ってすごいな。

森田季節『四十九日恋文』
 字数制限設定とこの状況で交わされる他愛ない会話の重み。ライトなのに残る。

今井哲也『ピロウトーク』
 うん正直何を言ってるかよくわからない楽しい。かわいい。好き。

草野原々『幽世知能』
 うわあ痛い系どろどろ百合かける異界ものだあー。怖いもの見たさみたいな意味合いで好み。

伴名練『彼岸花』
 最高か。この短さでよくここまでドストライクなジャンル詰めこんでくるよな。授業のシーンで引きこまれ、終盤ではひっくり返され。本当におすすめなので読め。読んでください。

南木義隆『月と怪物』
 ソ連百合。pixivの例の企画からの再読。この灰色の世界に立ち上る色彩の美しさよ。横書きと印象が変わるなーと思いながら読んだ。

櫻木みわ+麦原遼『海の双翼』
 語りかける文体と映像喚起力、ひりひりするような心の機微。ちょっとあの「外せない?」はエロすぎるだろう。

陸秋槎『色のない緑』
 好きだわー。女子三人が機械翻訳とかディープラーニングについて議論するの。なんかこの本の中で一番知的好奇心がくすぐられた。回想と交互に進む構成もよくて、読み進めるにつれ切なくなる。後半の酒飲むシーンが素晴らしい。

小川一水『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』
 宇宙オペラかける漁業、しかも身長高めゆる巨乳と小柄銀髪ツンデレとか! わかっていらっしゃる! 終電で帰宅中に読みながらにやにやしっぱなしだった。小気味よい掛け合いと、ふいに冷たい引き。最後の最後まではらはらドキドキさせてくれるし、最高かよ。

 ……ということで総じて濃い作品が集結しており、控え目に言って最高なので読んでください。こちらからは以上です。

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    山尾悠子『増補 夢の遠近法 初期作品集』

     濃密だった。幻想・幾何学・湿度。読むのに体力がいる文体で、脳内で映像が結びつかず読み進めるのが困難になり、いったん離れたりしていたら読み終わるのに三ヶ月くらいかかってしまった。
     特に印象に残った作品は以下。

    『夢の棲む街』の重厚なイメージと崩壊。
    『月蝕』これくらいライトだと楽しい。
    『ムーンゲイト』の冷たく尖った空気。
    『遠近法』の構造。
    『パラス・アテネ』の断絶とファンタジー色、繭の映像。
    『童話・支那風小夜曲集』の軽やかさ。
    『透明族に関するエスキス』の圧迫感。

     あとは作品じゃないけど自作解説。もうなんというか、突き抜けてる。

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      戸田鳥『手品師の弟子』『にんぎょばなし』

      『手品師の弟子』
       戸田鳥さんのセルパブ。全体的に物語がしっかりされていて、表現やリズムが耳に心地よい、語りが聞こえてくるような本です。実際にご本人が『恵照と子狸』の朗読をupされていました。
      『オオカミ・ドーナツ』や『恵照と子狸』のようなほっこりするお話もいいのですが、どちらかというと『蜃気楼の街』『迷霧』のようなどこか気味が悪くぞわぞわする話が好み。特に『迷霧』はnoteで読んだときから好きで、勝手に戸田鳥さんと言えばこれ!と思っています。お薦めです。

      『にんぎょばなし』
       こちらは一冊まるまる「どこか気味が悪くぞわぞわする」系。基本的に怪異、異質なものとして人魚を描き、その上で可愛らしさを覗かせてくるのがにくい。『人魚とダンス』が最高。

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        雨は満ち月降り落つる夜 (雨月物語SF合同) Kindle版

         お知らせが遅くなってしまいましたが、出ています。

         文学フリマ当日、所用の合間に確認していたついったで「午前中に完売!」を知り。さらに通販も完売し。その次の週くらいにはKindle版の見本が送られてきました。このスピード感。主催者の方には感謝しかありません。

         文フリで間に合わなかった方も文フリ行けなかった方も、ぜひどうぞ。
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          雨月物語/雨月物語SF合同

           江戸時代後期に上田秋成によって書かれた読本(≒伝奇小説)。九つの短編から成り、そのすべてが怪異を題材としている。

           名の知れた作品であり後世の文士によってリメイクされていたり映画化されていたりということで、内容をご存知の方も多いのではと思われるが、恥ずかしながら私、紹介されるまで知りませんでした。もし私と同様に「雨月物語? 何それ」って方がいらっしゃったらWikipediaにあらすじががっつり書かれているのでよろしければ。今は便利な時代です。


           全体的な感想としては、王道ホラーあり、BLあり、論理バトルありと様々なジャンルを含みつつ、鬼気迫る怨霊たち、廃墟の寒々しさや名所の美しさが描き出されており、のめりこんで読んだ。

           どれも好きなんだけど、特に好きなのは、魚への変身と水中からの近江の描写が美しい『夢応の鯉魚』、エンタメ性の高い『吉備津の釜』と『蛇性の婬』。

           あとこれは私の穿った見方かもしれないけれど、廃墟好きにはたまらない一冊ではないかと。美しい建物が次に訪れると廃墟というパターンがいくつかの話で共通していて、読みながら廃墟が出てくると「来たぞ来たぞ」とテンションが上がってしまう。


           また、解説によれば、それまでの文化・規律や戒律に対する新しい文化・自由や欲求という主題があり、自由や欲求を象徴するものとして怪異が配置されている、とのこと。確かに全体的に、因果応報とか規律大事だよね的な主張で物語が締め括られる傾向がある。ただその反面、自由や欲求を追い求める登場人物たちは実にのびのびと描かれており、読みながら自由への憧憬なんかもあるのではと感じた。


           ……さて、感想は以上で、実はここからが本題なのですが、お知らせがあります。


           5/6(月)の文学フリマ東京 ス-40 にて、笹帽子さん主催の合同誌『雨は満ち月降り落つる夜 - 雨月物語×SF』が出ます!

           私は『夢応の鯉魚』担当として参加しております。原作の後日譚的な位置づけで、機械的な登場人物たちがわちゃわちゃしたりもぐもぐしたり盗んでないバイクで走り出したりします。

           拙作はともあれ、どれも完成度が高く非常に濃い、面白い本になってます。私は語彙があれなので、読みながら「すごい……面白い……すごい……」しか言えませんでしたが、詳細は告知サイト、および皆様の紹介文をご覧いただければと思います。


          ・告知サイト:雨は満ち月降り落つる夜 - 雨月物語×SF

          主催の笹帽子さんによるTwitterモーメント


           私は残念ながら都合がつかず現地参戦はできませんが(文フリ行きたかった……!)、GW最終日、立ち寄られる方はぜひよろしくお願いします。


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